業務自動化2026-10-11 公開約 10 分で読めます

n8n・Zapier・Makeの使い分け|料金体系で選ぶ基準と乗り換え時期

n8n・Zapier・Makeを課金単位で使い分ける基準を、実行回数・タスク・クレジットの違いから整理します。無料プランの差、乗り換えを検討する時期、製造業の自動化事例まで、5〜200名の工場目線でまとめました。

中田 純平 — ツナイデ・ムスブ

熊本市 / AI 導入支援・業務自動化

並んでパソコン作業をするチーム

結論——n8n・Zapier・Makeは料金の課金単位で選ぶ

n8n・Zapier・Makeの使い分けは、課金単位で決めると迷いません。 n8nは実行回数、Zapierはタスク数、Makeはクレジットで課金します。処理の回数が多いならn8n、少数の定型作業ならFreeから試せるMakeやZapierが向きます。

3つはいずれもiPaaS(アイパース、複数のサービスをつなぐ連携基盤)です。仕組みはiPaaSとは何かで解説しています。用語はAI・DXの用語集にまとめました。

まず押さえる3つの違い

下の表で全体像をつかんでください。金額は参考資料にある通貨のまま載せます。円建ての価格は3社とも公式サイトに記載がありません。

項目 n8n Zapier Make
課金単位 実行回数 タスク数 クレジット
無料プラン なし(無料トライアルあり) あり(100タスク/月) あり(1,000クレジット/月)
最安有料 20€/月(年払いStarter) $19.99/月(Professional) $12/月(Core)

金額に税込・税抜の記載はありません。最新は各公式サイトで確認してください。

読者が知りたい順に並べました

課金の考え方、無料プランの差、選ぶ基準、乗り換え時期の順で説明します。製造業の自動化事例は後半にまとめました。

n8n・Zapier・Makeとは何か。3社の性格の違い

3社はどれも「あるサービスの出来事をきっかけに別のサービスを動かす」道具です。性格が異なります。

n8nは実行回数で課金する連携基盤

n8nは課金が実行回数(executions)だけで決まります。 ワークフロー1本がどれだけ複雑でも、1回動けば1実行です。ステップ数や処理の重さは料金に関係しません。

処理のなかでやることが多くても価格が増えないため、1本に多くの作業を詰め込む使い方に向きます。詳しい料金はn8nの料金を整理にまとめました。

Zapierはタスク数で課金する老舗ツール

Zapierはステップごとに1タスクを消費します。 連携できるアプリが多く、画面がわかりやすいのが特徴です。ステップが増えると消費タスクも増えます。

Makeはクレジットで課金するビジュアル型

Makeはモジュール1アクションごとに1クレジットを使います。 処理の流れを図で組み立てる画面で、動きを目で追えます。クレジットは月1,000から800万以上まで段階で選べます。

n8nの基本はn8nとは何かでも整理しています。

料金体系の違い——実行回数・タスク・クレジット

料金は「何を1単位と数えるか」で大きく変わります。 同じ作業でも、課金単位しだいで月額が逆転します。

3社の主要プランと金額

年払い・月払いで割引率が違います。n8nは年払いで17%、Zapierは33%、Makeは15%以上の割引です。

プラン段階 n8n Zapier Make
無料 公式サイト参照 $0(100タスク/月) $0(1,000クレジット/月)
入門 20€/月・2.5K実行 $19.99/月〜 $12/月・10Kクレジット
中位 50€/月・10K実行 $69/月(25ユーザー) $21/月・10Kクレジット
上位 667€/月・40K実行(セルフホストのみ) 要問い合わせ $38/月・10Kクレジット
最上位 要問い合わせ 要問い合わせ 要問い合わせ

n8nのBusinessは自社サーバーに置くセルフホスト限定です。運用の負担はn8nのセルフホスト運用を確認してください。

課金単位の違いが効く場面

1本の処理に作業を詰め込むほど、n8nが割安になりやすい仕組みです。理由は、何個作業しても1実行で済むためです。

ZapierとMakeはステップやアクションが増えるほど消費が増えます。少ない手順を少ない回数動かすなら、無料から始められる2社が気軽です。

ユーザー数の数え方も違う

n8nは全プランでユーザー数が無制限です。 人を増やしても料金は変わりません。Zapierは無制限がTeam以上、Makeはチーム機能がTeams以上です。

人数が多い会社ほど、ユーザー課金のないn8nが読みやすくなります。

無料プランの違いと、どこまで試せるか

無料で恒久的に使えるのはZapierとMakeです。 n8nに恒久無料プランはありません。代わりに無料トライアルと、自社サーバーに置くCommunity版(無料)があります。

3社の無料枠を比べる

項目 n8n Zapier Make
恒久無料 なし あり あり
無料の上限 トライアル1,000実行 100タスク/月 1,000クレジット/月
期限 トライアルのみ 期限なし 期限なし
カード登録 Cloudは不要 不要 公式サイト参照

Zapierは新規作成時にProfessionalの14日間トライアルも使えます。クレジットカードは不要です。

無料で試すときの注意点

無料枠は実行間隔が長めです。Zapierの無料はポーリング間隔が15分、Makeの無料も実行間隔が最小15分です。

リアルタイムに近い反応が要るなら、有料プランで間隔が短くなります。まず無料で流れを組み、本番で有料に上げる進め方が無難です。

n8nを無料で触る方法

n8nはCommunity版をGitHubから入手し、自社サーバーで無料運用できます。ただしサーバーの準備と保守が必要です。試すだけならCloudトライアルが手軽です。

選ぶ基準——5つの判断軸で整理する

選ぶときは、処理回数・人数・技術者の有無・データ保管場所・連携先の5つで見ます。 価格表だけ見ても決まりません。

① 月の処理回数で見る

処理回数が多いほどn8nが読みやすくなります。回数が少ないなら無料から始めるMakeやZapierで十分です。

② 社内に技術者がいるかで見る

セルフホストのn8nはサーバー運用の知識が要ります。社内に触れる人がいないなら、ZapierやMakeのクラウド、またはn8n Cloudが現実的です。

③ データの保管場所で見る

n8nのホスト版は**EU内(ドイツ・フランクフルト)**のサーバーに保管されます。自社サーバーに置けば保管場所を自分で決められます。取引先から保管場所を問われる場合に効きます。

判断軸の早見表

判断軸 n8nが向く Zapierが向く Makeが向く
月の処理回数 多い 少ない 中くらい
社内の技術者 いる いなくても可 いなくても可
連携アプリの多さ 多い とても多い 多い
データ保管の自由度 高い(自前可) 低い 低い
画面の見やすさ 中 高い 高い(図で組む)

連携アプリの多さは、使いたいサービスが対応しているかを各公式で確認してください。

④⑤ 連携先と予算で最終判断

使いたいサービスが対応していなければ、ほかの基準が合っても選べません。対応を確認してから、予算と課金単位で絞り込んでください。

セキュリティと管理機能の違い

SSO(一度のログインで複数サービスに入れる仕組み)が使える段階が3社で違います。 社員数が増えたら必ず確認してください。

SSO・2段階認証の対応段階

機能 n8n Zapier Make
SSO Business以上 Team Enterprise
2段階認証 インスタンス全体で強制可 全プラン 組織全体で強制可
監査ログ あり あり 公式サイト参照
データ保管場所 EU内(ホスト版) 公式サイト参照 公式サイト参照

n8nは認証情報の暗号化保管や実行データの秘匿化にも対応します。

中小企業が見るべき点

従業員が増えると、個人任せのログイン管理が崩れます。SSOや2段階認証の強制は、退職者のアクセスを止める場面で効きます。

人数が20名を超えるあたりから、管理機能のある段階を検討してください。

乗り換えを検討するタイミングと、対象外の使い方

乗り換えを考えるのは、月額が処理の価値を上回りはじめたときです。 回数が増えて課金が膨らむと、課金単位の差が効いてきます。

乗り換えを検討する3つの合図

  1. 処理回数が増え、タスクやクレジットの消費が頭打ちになった
  2. 人数が増え、ユーザー課金の負担が重くなった
  3. データの保管場所を自社で決める必要が出た

上の合図が重なったら、実行回数課金でユーザー無制限のn8nが候補になります。回数が少ないままなら、乗り換えずFreeや安い段階で十分です。

乗り換え前に確認すること

連携の設定は手作業で作り直しになる場合が多いです。移す前に、いま動いている処理を一覧にしてください。全部移さず、効果の大きい1本から移すのが安全です。

自動化が効かない業務もある

判断が分かれる作業や、例外が多い作業は自動化に向きません。 ルールが固まらない処理は、かえって手直しが増えます。

毎回同じ手順で、入力と出力がはっきりした作業に絞ってください。向き不向きは製造業でAIエージェントに任せられる業務も参考になります。

製造業でn8nの自動化が効いた2つの実例

繰り返しの作業ほど自動化が効きます。実際にあった例を2件紹介します。

議事録作成を週10時間から5分の確認に

製造業の営業部門(社員20名)の例です。会議のたびに議事録作成に時間がかかり、修正もしづらく、会議そのものに集中できていませんでした。

録音から文字起こし・要約・保存までをn8nの1本のワークフローでつなぎました。週10回の会議で合計10時間ほどかけていた作成が、5分程度の確認で済むようになりました。 会議中は議論に集中でき、残業も減りました。

議事録の自動化は製造業の会議・議事録を自動で残す構成でも扱っています。

毎日1時間のリサーチを出社時には完了

大手マーケティング会社(規模非公開)の例です。競合他社のリサーチに毎日1時間ほどかけていました。毎日決まった時間に決まった情報源を見る作業で、人がやる必要がありませんでした。

収集と要約をn8nで自動化し、出社時にはその日の結果がまとまっている状態になりました。規模非公開のため金額の効果は示せませんが、作業そのものが人の手から離れました。

20名の工場ならどこから始めるか

上の2件は営業・マーケティングの例です。20名の工場なら、毎日繰り返す1作業から始めてください。受注・在庫・日報のつなぎ方は製造業のn8n自動化に手順をまとめました。

出典

料金・機能は確認日時点の公式サイトの情報です。最新は各公式サイトで確認してください。円建て価格・税込税抜の記載は3社とも公式になく、表示通貨のまま掲載しています。

n8n・Zapier・Makeの使い分け、まず試す1つの業務を選ぶ

今日やることは、自動化したい業務を1つだけ紙に書くことです。 全社導入を考える前に、毎日繰り返す作業を1つ選んでください。

その作業の回数が少なければ、無料のMakeかZapierで流れを組んで試します。回数が多く人数も多いなら、n8nのトライアルで同じ流れを組んで比べてください。比較の全体像はiPaaS比較にまとめています。

よくある質問

Q.n8n・Zapier・Makeの無料プランはどこが違いますか

恒久無料で使えるのはZapierとMakeです。Zapierは月100タスク、Makeは月1,000クレジットまで使えます。n8nに恒久無料プランはなく、無料トライアルか自社サーバーに置くCommunity版での無料利用になります。

Q.料金が一番安いのはどれですか

最安の有料プランはMakeのCore($12/月、10kクレジット時)です。次いでZapierのProfessional($19.99/月〜)、n8nのStarter(20€/月・年払い)です。ただし処理回数が多い場合は、実行回数課金のn8nが結果的に割安になることがあります。

Q.社内にエンジニアがいなくても使えますか

ZapierとMakeはクラウド型で、技術者がいなくても始めやすいです。n8nのセルフホスト版はサーバー運用の知識が要りますが、n8n Cloudを選べば準備の負担は軽くなります。

Q.n8nからZapierへ、または逆に乗り換えはできますか

乗り換えは可能ですが、連携の設定は手作業で作り直しになる場合が多いです。移す前にいま動いている処理を一覧にし、効果の大きい1本から移すと失敗しにくくなります。

Q.製造業の工場でも使えますか

使えます。日報の集計、受注メールの転記、議事録の自動作成など、毎日繰り返す定型作業に効きます。判断が分かれる作業や例外の多い作業は自動化に向かないため、手順が固まった業務から選んでください。

Q.スマホだけでも設定できますか

ワークフローの作成はPCでの操作が基本です。ただし作った自動化が動いた結果の通知や確認は、スマホで受け取れます。現場はスマホで受け取り、設定は事務のPCで行う分担が現実的です。

この記事を書いた人

中田 純平

ツナイデ・ムスブ 代表 / 熊本市

熊本を拠点に、生成 AI と業務自動化を使った中小企業の業務改善を支援。 ツールの紹介だけで終わらせず、現場で回るところまでを対面で伴走している。 業務自動化の構築 14 社、研修登壇は累計 3,000 名以上。 この記事の料金・機能は、公開時点の各公式サイトの情報をもとにしています。

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