AI導入2026-10-22 公開約 10 分で読めます

Difyの使い方|チャットフローとワークフローの違いとRAGの組み方

Difyの使い方を製造業向けに整理します。チャットフローとワークフローの違い、最初に作るべき小さな1つ、社内資料をAIに答えさせるRAGの組み方を、無料枠と失敗例まで含めて説明します。

中田 純平 — ツナイデ・ムスブ

熊本市 / AI 導入支援・業務自動化

オフィスのデスクに置かれたノートパソコン

結論——Difyの使い方は「チャットフローで小さな1つ」から始める

Difyの使い方は、無料のSandboxでチャットフローを1個作るところから始めます。いきなり全社の仕組みを組まず、1つの質問に答えるボットを試すのが近道です。

チャットフローは会話で答えを返す仕組み、ワークフローは決まった処理を順番に流す仕組みです。社内資料をAIに答えさせたいなら、チャットフローにRAGをつなぎます。

RAG(検索して答える仕組み。社内資料をAIに読ませて根拠つきで返す方式)は、Difyの中で画面をつなぐだけで組めます。詳しい仕組みはRAGとは?社内マニュアルをAIに答えさせる仕組みを実務目線でで整理しています。

Difyとは何か|チャットフロー・ワークフロー・RAGの3語

Difyは、生成AIのアプリをノーコードで作れるツールです。チャット画面やワークフローを、ブロックをつなぐ操作だけで組み立てられます。

読み方は「ディファイ」です。基本的な全体像はDifyとは何か|読み方・できること・社内向けAIの作り方で説明しています。

まず押さえる3つの言葉

Difyを触る前に、次の3語の役割を分けて覚えると迷いません。

  • チャットフロー:人と会話しながら答えを返すアプリ
  • ワークフロー:入力を受けて決まった処理を自動で流すアプリ
  • RAG:社内資料を読み込ませ、その中から根拠を探して答えさせる機能

なぜ製造業で使われ始めたか

理由は、紙や個人の頭に溜まった情報をAIに検索させたい現場が増えたためです。図面の注記や過去のトラブル記録を、聞けば出る形にしたい需要があります。

製造業での具体的な使い道は製造業のRAG活用|図面・手順書・トラブル記録をAIに検索させる手順にまとめています。

用語がわからないとき

RAGやノーコードなどの言葉は、AI・DXの用語集で確認できます。読みながら引けるようにしておくと詰まりません。

チャットフローとワークフローの違いを表で整理する

チャットフローとワークフローの違いは、人と会話するか、処理を自動で流すかです。前者は問い合わせ対応、後者は定型処理に向きます。

役割の違い

比較軸 チャットフロー ワークフロー
使う人 現場の人が会話で質問 入力をきっかけに自動実行
得意なこと 問い合わせ対応・社内検索 分類・要約・下書き生成
画面 チャット画面 入力して結果を受け取る
向く業務 マニュアル検索・FAQ 日報の要約・メール下書き
RAGとの相性 つなぎやすい つなげるが会話は不要

迷ったときの選び方

選ぶ基準は単純です。人がその場で質問して返事がほしいならチャットフローを選びます。

日報を貼ると要約が返る、といった一方通行の処理ならワークフローです。会話のやり取りが不要な作業は、ワークフローのほうが設計が軽くなります。

併用もできる

片方しか使えないわけではありません。チャットフローの中でワークフローを呼び出す構成も組めます。最初は混ぜず、どちらか1つで動かすのが安全です。

最初に作るもの|効果が出やすい小さな1つ

最初に作るのは、1つの資料に答えるチャットボットです。範囲を広げず、よく聞かれる質問が集まる資料を1つだけ選びます。

候補を比べる

候補 元になる資料 効果 難易度
作業手順の質問ボット 手順書1冊 新人の聞き回りが減る 低
過去トラブル検索 不良対応の記録 原因探しが速くなる 中
社内規定の案内 就業規則・申請ルール 総務への質問が減る 低
日報の要約 当日の日報 読む時間が減る 中

なぜ範囲を絞るか

理由は、資料を広げるほど答えがぶれるためです。最初は1冊、質問者も1部署に絞ると検証が早く回ります。

うまくいった手応えが出てから、資料を足していきます。全部を一度に入れると、どこが悪いか切り分けられません。

失敗しない範囲の決め方

選ぶ資料は、内容が確定していて更新頻度が低いものにします。日々書き換わる資料は、古い答えを返す原因になります。先に固まった手順書や規定から始めると安定します。

RAGを組むときの流れ|5つの手順

RAGを組む流れは、資料を登録してチャットフローにつなぐ5手順です。コードは書かず、画面の操作で進みます。

① ナレッジに資料を登録する

最初に、Difyの「ナレッジ」へ資料ファイルを登録します。PDFやテキストを取り込み、AIが検索できる形に変換します。

無料のSandboxはナレッジドキュメント50件・ストレージ50MBまでです。手順書1冊なら十分収まります。

② チャットフローのアプリを作る

次に、チャットフローのアプリを新規作成します。空のチャット画面が用意されます。ここに、先ほどのナレッジを検索ブロックとしてつなぎます。

③ 検索結果をAIに渡す

検索ブロックの結果を、回答を作るAIブロックへ渡します。これで、質問に対して資料の中身から答えが返るようになります。根拠の文章を一緒に表示する設定にすると確認が楽になります。

④ テストして答えを調整する

実際に質問を打ち、答えが正しいかを人が確認します。ずれる場合は、資料の分け方や指示文を直します。最初から完璧を狙わず、10問ほど試して詰めるのが現実的です。

⑤ 使っているチャットへつなぐ

最後に、普段使うチャットツールへ出口をつなぎます。これにより、新しい画面を開かず質問できます。

実際にあった例です。営業代行・製造・不動産など複数社が、社内資料を外部サービスに預ける不安からDifyで社内専用のRAGを組みました。SlackやLINEにそのままつなげられる点を理由に選び、普段のチャットから社内情報を聞ける形になりました。規模は非公開のため、自社に当てる際は資料1冊の小さな検証から始めると判断しやすくなります。

Difyの料金プランと無料枠はどこまで使えるか

Difyには無料プランが2つあり、お試しなら費用をかけずに始められます。Dify Cloudの無料版がSandbox、セルフホスト版がCommunityです。

無料で使える範囲

Sandboxの制限は次のとおりです。1人でお試しする分には足ります。

  • メッセージクレジット200(総量)
  • チームメンバー1名
  • アプリ5個、ナレッジ50件
  • ストレージ50MB、ログ履歴30日

人を増やして共有するには、有料プランが必要になります。

有料プランの中身

項目 Sandbox Professional Team
料金 無料 記載なし(公式参照) 記載なし(公式参照)
メンバー 1名 3名 50名
アプリ数 5 50 200
ナレッジ 50件 500件 1,000件
ストレージ 50MB 5GB 20GB
ログ履歴 30日 無制限 無制限

参考として、英語版の料金ページにはProfessionalが$590 per workspace / year、Teamが$1590 per workspace / yearという米ドルの値があります。いずれも税抜で、ワークスペース単位の年あたり表記です。

円建てはどこで見るか

今回確認した英語版ページに円建ての金額はありません。円の料金は日本語版の公式ページで最新を確認してください。EnterpriseとCommunityのうち、Enterpriseは要問い合わせ、Communityは無料です。

セキュリティと社内利用|外部に資料を預けたくない場合

社内資料を外に出したくない場合、セルフホスト版のCommunityを自社サーバーで動かす選択があります。閉じた環境で構築できます。

認証と管理機能

Difyのサイトに表示されている認証は次のとおりです。

項目 内容
認証バッジ GDPR / SOC 2 / ISO 27001
SSO Enterpriseプランに記載
複数ワークスペース管理 Enterpriseに記載
商用ライセンス Enterpriseに記載

クラウドか自社構築か

判断軸は、資料の機密度と運用できる人がいるかです。顧客情報や図面を外に出せないならセルフホストが候補になります。

ただしセルフホストはサーバーの管理が要ります。情シス専任がいない会社は、無料のSandboxで試作してから判断すると無理がありません。入力してよい情報の線引きは生成AIに入力してよい情報とだめな情報で整理しています。

失敗・対象外|Difyが効かない業務

Difyが効かないのは、資料が整っていない業務です。元になる文書が人の頭の中にある状態では、RAGは答えを探せません。

向かないケース

  • 手順が文書化されておらず口頭で回っている
  • 資料が毎日書き換わり、正解が定まらない
  • 答えに100%の正確さが要る契約・法務の判断

AIは間違える前提で使います。人が最終確認する工程を外さないのが条件です。確認の設計はAIのハルシネーション対策にまとめています。

自動化だけならn8nも候補

会話が不要で、受注や在庫のデータをつなぐだけなら、Difyより自動化ツールが向く場合があります。n8nのような道具が候補です。違いはn8nとは何か|読み方・できること・Zapierとの違いを整理で確認できます。

入れない判断もある

質問が月に数件しかない資料に、わざわざボットを作る必要はありません。手間に見合うかを先に見ます。効果が薄いと判断したら、作らないのも正しい選択です。

Difyと他ツールの使い分けを判断表で整理する

どのツールを使うかは、目的が会話か自動処理かで分かれます。社内検索ならDify、定型連携ならiPaaSです。

目的別の早見表

やりたいこと 向くツール 理由
社内資料に答えさせる Dify RAGを画面操作で組める
1人で文章の下書き ChatGPT 導入が最も軽い
データの連携・自動実行 n8n等のiPaaS 処理の流れを組める
業務アプリ・台帳管理 Lark Base等 記録と一覧に強い

併用が前提になる

1つで全部をまかなう必要はありません。ChatGPTで下書き、Difyで社内検索、と役割を分けます。製造業での最初の一歩は中小企業がAIを入れる最初の一歩で整理しています。

出典

料金・機能は確認日時点の公式サイトの情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。確認したページは英語版のため、円建て価格は日本語版ページでの確認が必要です。

Difyの使い方、今日やる1つ——無料Sandboxでボットを1個作る

今日やる行動は1つです。無料のSandboxに登録し、手順書1冊でチャットボットを作ってみます。

ナレッジに資料を1つ登録し、チャットフローにつなぎ、10問テストします。ここまでなら費用はかかりません。小さく動かした手応えが、次に何を広げるかの判断材料になります。

よくある質問

Q.Difyの無料プランはどこまで使えますか

Dify Cloudの無料版Sandboxは、メッセージクレジット200・メンバー1名・アプリ5個・ナレッジ50件・ストレージ50MB・ログ履歴30日まで使えます。1人で手順書1冊のボットを試すには足ります。人を増やして共有するには有料プランが必要です。

Q.チャットフローとワークフローはどちらを先に作るべきですか

社内資料に質問して答えがほしいなら、チャットフローを先に作ります。日報を貼ると要約が返るような一方通行の処理ならワークフローです。会話のやり取りが不要な作業はワークフローのほうが設計が軽くなります。

Q.社内資料を外部に預けたくない場合でもDifyは使えますか

セルフホスト版のCommunityを自社サーバーで動かせば、閉じた環境で構築できます。実際に外部サービスへ資料を預ける不安からDifyを選んだ会社もあります。ただしサーバー管理が要るため、情シス専任がいなければ無料のSandboxで試作してから判断すると無理がありません。

Q.Difyの料金は月いくらですか

確認した英語版ページに円建て価格はありません。参考としてProfessionalが年$590、Teamが年$1590という米ドルの税抜表記があり、いずれもワークスペース単位です。円の料金は日本語版の公式ページで最新を確認してください。

Q.製造業の小さな工場でもDifyは使えますか

手順書や規定など文書が整っている業務なら使えます。最初は資料1冊・1部署に絞ると検証が早く回ります。逆に手順が口頭で回っていて文書がない業務は、RAGが答えを探せないため向きません。

Q.DifyとChatGPTやn8nはどう使い分けますか

社内資料に答えさせるならDify、1人で文章を下書きするならChatGPT、データの連携や自動実行ならn8nが向きます。1つで全部をまかなう必要はなく、役割を分けて併用するのが現実的です。

この記事を書いた人

中田 純平

ツナイデ・ムスブ 代表 / 熊本市

熊本を拠点に、生成 AI と業務自動化を使った中小企業の業務改善を支援。 ツールの紹介だけで終わらせず、現場で回るところまでを対面で伴走している。 業務自動化の構築 14 社、研修登壇は累計 3,000 名以上。 この記事の料金・機能は、公開時点の各公式サイトの情報をもとにしています。

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