製造業でLarkを使う。生産管理・不良報告・シフトを紙からデジタルに移す進め方
熊本の製造現場で生産管理・不良報告・シフトを紙からLarkへ移す手順を、紙運用・専用システムと比較しながら整理しました。規模別の目安と料金の考え方も示します。
中田 純平 — ツナイデ・ムスブ
熊本市 / AI 実装スタジオ
先に結論を言います
製造業で紙をやめるなら、いきなり全部をデジタルにせず、まず「不良報告」から Lark に移すのが現実的です。理由は、不良報告が一番遅れて一番痛いからです。生産管理とシフトは、そのあとで Lark Base(表計算とデータベースを合わせたような機能)に順番に載せれば無理がありません。ただし、多品種で複雑な工程管理や外部設備との連携が要る工場は、専用の生産管理システムのほうが向く場合があります。
製造業で紙をデジタルに移すとき、何から手をつけるか
答えは「毎日書いていて、しかも遅れると損する紙」からです。工場の紙は種類が多いので、全部を一度に置き換えようとすると必ず途中で止まります。
熊本の製造現場でよく残っている紙は、だいたい次の3つです。
- 生産日報・進捗ボード(どのラインがどこまで進んだか)
- 不良報告・是正記録(何が、いつ、なぜ起きたか)
- シフト表・応援要請(誰がどこに入るか)
この3つのうち、最初に効くのは不良報告です。紙の不良報告は、書いてから事務所に届くまで半日かかることがあります。その半日で同じ不良を作り続けます。スマホで写真1枚と一言を送れれば、次の1個を止められます。
紙・専用システム・Larkを比べる
製造現場の3業務を「紙・Excel」「専用生産管理システム」「Lark」で比べると、次のようになります。
| 比較軸 | 紙・Excel | 専用生産管理システム | Lark |
|---|---|---|---|
| 初期費用 | ほぼ0円 | 数十万〜数百万円(公式サイト参照) | 0円(無料プランから) |
| 月額料金 | ほぼ0円 | ベンダーにより変動(公式サイト参照) | 無料/プロ ¥1,420・1ユーザー月 |
| 導入スピード | 即日 | 数か月〜 | 数日〜数週間 |
| 生産進捗の記録 | 手書き・転記 | 得意(工程設計込み) | Base で自作可能 |
| 不良報告 | 紙・口頭 | 品質モジュールで対応 | チャット+Baseで即時共有 |
| シフト管理 | 手書き・貼り出し | 別途モジュール | 勤怠機能・Baseで対応 |
| 現場スマホ入力 | 不可 | アプリ次第 | 標準対応 |
| 写真添付 | 不可 | 対応するものもある | チャット・Baseに添付可 |
| 通知・既読管理 | 不可 | 製品による | 標準対応 |
| データ集計・分析 | 手集計 | 得意 | Baseで集計・グラフ化 |
| 外部設備・機器連携 | 不可 | 得意(PLC等) | 苦手(別途連携が必要) |
| カスタマイズ自由度 | 高いが属人化 | 低い〜中(ベンダー依存) | 高い(ノーコードで自作) |
| 専門知識の要否 | 不要 | ベンダーが対応 | 社内に1人担当が要る |
| サポート | なし | 手厚い(有償) | 公式サイト参照 |
| 向いている企業 | 数人・単純工程 | 多品種・設備連携が必須 | 現場をまず紙から抜け出したい企業 |
Lark の料金は今回確認できたのがプロプラン ¥1,420(1ユーザー・月)と無料プランのみです。標準プランや上位プランの日本円価格、ストレージ容量などは公式サイトで最新を確認してください。
Larkで生産管理をどう組むか
生産進捗は Lark Base の1テーブルから始めます。専用システムのような工程設計は要りません。
最小の構成はこうです。
- 項目:日付/ライン・工程/品番/計画数/実績数/担当/備考
- 現場はスマホで実績数を入力するだけ
- ダッシュボードで計画と実績の差を自動集計
Excel でも似たことはできますが、複数人が同時に触ると壊れます。この境目についてはLark BaseとExcelの違いで詳しく書いています。在庫まで含めて回したい場合はLark Baseで在庫管理をする方法も参考になります。
Larkで不良報告をどう回すか
不良報告は「チャット+Base」の二段構えにします。速報はチャット、記録は Base です。
- 現場が不良を見つけたら、専用チャットグループに写真と一言を投げる
- 同時に、その投稿から Base の不良記録テーブルに登録する
- 品番・工程・原因・是正の欄を後から埋める
- 是正が終わったらステータスを「完了」にする
チャットには既読が付くので、「見ていない」が起きません。紙だと机の上で埋もれる報告が、その場で全員に届きます。自動で担当へ通知を飛ばす設定はLark Baseの自動化機能の方法で組めます。
Larkでシフトを回すか
シフトは Lark の勤怠機能と Base のどちらでも回せます。少人数なら Base の1テーブル、応援要請が多い工場は勤怠機能が向きます。
熊本では TSMC 関連の需要で人の取り合いが起きており、応援・掛け持ちが増えています。誰がどこに入っているかを紙で貼り出すと、当日の変更に追いつきません。Lark なら変更が全員のスマホに即座に反映されます。詳しくはLarkの勤怠管理を見てください。
紙・Excel運用のデメリット
紙とExcelの一番のデメリットは、情報が「今その場」でしか見えないことです。
- 転記の手間と書き間違いが必ず残る
- 事務所に届くまで時間がかかり、対応が遅れる
- 過去データの集計が手作業で、傾向がつかめない
- 担当者しか読めないExcelが増え、属人化する
初期費用はゼロですが、遅れと転記ミスという見えないコストを毎日払い続けます。
専用生産管理システムのデメリット
専用システムのデメリットは、費用と柔軟性です。工程が変わるたびにベンダーへ依頼が必要になることがあります。
- 初期費用が数十万〜数百万円になることがある(公式サイト参照)
- 導入に数か月かかり、現場が待たされる
- 仕様変更のたびに追加費用と時間がかかる
- 高機能ゆえに現場が使いこなせず、一部しか動かないことがある
設備連携や多品種の複雑な工程には強い一方、10〜50名の会社では機能が過剰になりがちです。
Larkのデメリット
Lark のデメリットは、社内に「作る人」が1人要ることと、設備との直接連携が苦手なことです。
- Base の設計を社内で決める必要がある(ベンダー任せにできない)
- PLC など製造設備との自動連携は基本的に苦手
- 標準・上位プランの日本円価格やストレージ上限が公式サイトで確認しにくい
- 高度な品質分析までは専用システムに及ばない
設備データを自動で吸い上げたい工場は、Lark 単体では足りません。そこは専用システムの領域です。
どちらを選ぶか——チェックリスト
専用生産管理システムが向く会社
- 多品種少量で工程設計が複雑
- 製造設備からデータを自動取得したい
- トレーサビリティを厳密に管理する必要がある
- 導入予算と期間を確保できる
Larkが向く会社
- まず紙とLINEと電話から抜け出したい
- 不良報告やシフトの共有が遅れて困っている
- 現場がスマホで入力できる形にしたい
- 小さく始めて、使いながら育てたい
規模別の目安——5人・20人・50人の会社なら
熊本の中小製造業を想定した、規模ごとの判断の目安です。
| 規模 | 向く選択 | 理由 |
|---|---|---|
| 5人 | Lark 無料〜プロ | 専用システムは過剰。紙をまず抜け出すのが先 |
| 20人 | Lark プロ中心 | 現場のスマホ入力で不良・シフトの遅れが減る |
| 50人 | Lark +必要なら専用併用 | 複雑工程だけ専用、それ以外はLarkで統合 |
プロプランで人数分を単純計算すると、20人なら ¥1,420×20人=月額 ¥28,400、50人なら ¥1,420×50人=月額 ¥71,000 が目安です。無料プランで始めて必要な人だけ有料にする手もあります。専用システムの費用はベンダーにより幅が大きいので、相見積もりで比べてください。
進め方の手順
順番を守ると失敗しにくいです。全部一度にやらないことが肝心です。
- 不良報告のチャットグループを1つ作る(今週)
- 写真+一言で報告する運用を1ラインで試す(2週間)
- Base に不良記録テーブルを作り、集計を見る(1か月)
- 生産日報を Base に移す(2か月目)
- シフトを Lark に載せる(3か月目)
LINE で現場が回っている場合は、置き換えの現実的な進め方を熊本の現場でLINEをやめてLarkに移すにまとめています。
出典
- Lark 公式料金ページ(2026年8月6日確認)
料金・機能は確認日時点の公式サイトの情報です。最新は各公式サイトでご確認ください。
明日からできる一歩
明日、不良報告用のチャットグループを1つだけ作ってください。現場のリーダー数人を入れて、「不良を見つけたら写真1枚と一言をここに送る」とだけ決めます。紙の是正記録はそのまま残して構いません。まず速報が全員に届く状態を、1ラインで作ってみてください。
よくある質問
Q.製造業でLarkを使うと生産管理システムは不要になりますか
工程が単純で設備連携が要らない工場なら、Lark Base で生産進捗・不良・シフトを回せます。ただし多品種で複雑な工程管理や、製造設備からのデータ自動取得が必要な場合は専用システムのほうが向きます。両方を併用する会社もあります。
Q.不良報告と生産日報はどちらから紙をやめるべきですか
不良報告からです。不良報告は遅れると同じ不良を作り続けて損が大きいため、スマホで写真と一言を即時共有できる効果が最も分かりやすいです。生産日報はそのあとで Base に移すと無理がありません。
Q.Larkの無料プランだけで製造現場の運用はできますか
少人数で不良報告のチャット共有や簡単な Base を試す範囲なら、無料プランでも始められます。人数・ストレージ・履歴などの具体的な上限は今回確認できていないため、公式サイトで最新を確認してください。
Q.Larkのプロプランは1人あたりいくらですか
確認できた範囲では、プロプランは ¥1,420(1ユーザー・月)です。20人なら月額 ¥28,400 が目安になります。標準プランや上位プランの日本円価格は公式サイトでご確認ください。
Q.設備からデータを自動で取り込みたい場合もLarkで対応できますか
PLC などの製造設備との直接連携は Lark の苦手分野です。設備データの自動取得が必須なら専用生産管理システムが向きます。手入力やスマホ入力で足りる範囲なら Lark で十分回せます。
Q.導入費用は熊本の補助金で賄えますか
補助金の対象になる可能性はありますが、要件は毎回変わります。対象費目や条件は公募要領で最新を確認し、採択は保証されない前提で進めてください。詳しくは補助金の記事を参照してください。
この記事を書いた人
中田 純平
ツナイデ・ムスブ 代表 / 熊本市
熊本を拠点に、Lark と生成 AI を使った中小企業の業務効率化を支援。 ツールの紹介だけで終わらせず、導入から現場への定着までを対面で伴走している。 この記事の料金・機能は、公開時点の各公式サイトの情報をもとにしています。
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